改めて、減量を伴う競技の過酷さを知りました…。
おはようございます!高橋藍です。
先週は本当に胸が痛いニュースがありました。
ボクシング世界タイトルマッチで起きた減量失敗、計量のニュース。改めて減量が選手に課す事態の大きさに愕然としました。
もちろん選手に責任はあります。周りに責任を問う声も聞かれます。しかし、誤解を招くような言い方してしまいますが、選手は減量のプロではないのです。むしろ、減量をすればするほど人間の身体は防衛本能が働き代謝の悪い身体になってしまいます。少ないエネルギーで生命維持をするために省エネな身体が作られるのです。
返せば、それは減量を繰り返していると命の危機に関わるから身体が止めてしまっている、ということです。「今までやってきたから」という「経験値がモノを言わない」のです。今回の選手もチャンピオンですから、経験値はあったはずです。減量でよく聞く、水抜き、塩抜きも私は問題視しています。簡単に説明すると水、塩を一時的に抜けば減量できるという手法です。しかし身体はそんなに簡単な作りをしていません。もっと緻密で繊細な構造で生命維持をしているのです。
計量後の嘔吐、これは完全に減量失敗です。胃腸が受け付けなくなっている証拠です。今回の選手は以前からパニック障害、精神不安定などの症状があったという記事がありました。一個人的な意見ですがこの選手はとても素晴らしい選手です。パフォーマンス力があり、お客さんにワクワクさせる試合を魅せる選手でもありました。ゆえに胸が痛みます。
改めて階級スポーツが他競技と決定的に違うのは、勝負する舞台が2つあるところ。
1つ目は計量
クリアしなければ戦うことができません。
2つ目は試合
当然のごとく勝負で勝敗がつきます。
本当の勝負はどちらですか?もちろん試合です!
しかし、選手は試合をする以前に精神的・身体的ダメージを負う可能性が高いところが、このスポーツの過酷なところです。「勝ち・負け」だけではないのです。
摂取エネルギーが不足すれば、気力も体力もわきません。根性、努力ではどうすることもできないのです。そもそも、その根性を養うエネルギーが枯渇しているのですから。1度や2度でしたら火事場の馬鹿力でどうにか乗り越えられるかもしれませんが……。
私の想いはただひとつです。
格闘技をやって、競技をやって「このスポーツに出会ってよかった」と思える選手がたくさんいること。
私はシュートボクシングに出会って本当によかったと思っています。心から。しかし、現役当時は厳しい減量に「こんな想いをする競技を後輩、特に女性選手にはすすめることができない」と思っていました。減量には大変苦労をしました。
精神的にはもちろんですが「身体が言うことを聞かない慢性的な不調」に、私ならいいけど他の人にはすすめられないと心底思っていました。医療機関にもかかりました。本も読み漁りました。それでも解決方法は得られませんでした。私もまさに当事者でした。
しかし「食べる減量」に切り替えてから心、身体共に大きく変わりました。今は減量のあるスポーツで勝負する選手の背中を押すことができます。改めてスポーツ界、特に私の大好きな格闘技界で食の意識を変えたいと強く思いました。実力ある選手が実力で勝負できるために。